レジロールが値上がりし続けている理由。製紙業界の構造変化と、店側が今やっておくべきこと

レジロールが値上がりし続けている理由。製紙業界の構造変化と、店側が今やっておくべきこと

レジロール・感熱紙を仕入れている小売・飲食・クリニックなどの店舗向けの話です。2025年秋から2026年にかけて、国内製紙各社が印刷・情報用紙を相次いで値上げしました。レジロールの原紙も、この流れの外にはいられません。

この記事では、価格改定の流れと背後にある構造要因を整理します。読み終わる頃には、次の3点ができます。

  • どのメーカーがいつ・どれだけ値上げしたかを時系列で把握できる
  • 値上がりが続く3つの構造要因を説明できる
  • 単価の見方と発注の先読みで、仕入れコストを守る手順が分かる

まず結論:今日やること

次の順で確認してください。所要は20分ほどです。

  1. 1mあたり単価に換算して現行の仕入れ単価を確認する(10分)— 「1巻あたり」の比較では、巻き長の短縮による実質値上げに気づけません
  2. 直近の値上げ発表の日付と幅を控える(5分)— 発表から反映まで数ヶ月かかるのが普通です
  3. 在庫の持ち方と保管場所を確認する(5分)— 冷暗所なら数ヶ月分は劣化リスクが低いです
  4. レシートの印刷内容を見直す— 不要な行の削減で紙の消費そのものを減らせます

※ 先送りすると、次の改定の適用直前に慌てて高値で買い足すことになります。

相次ぐ値上げ発表。2026年の流れを整理する

レジロールを定期発注していると、「前より高い気がする」と感じる場面が増えたのではないでしょうか。気のせいではなく、製紙業界全体が2025年秋以降、段階的な価格改定に入っているためです。

公表されている主な価格改定は次の通りです。

メーカー 改定時期 値上げ幅(発表)
王子製紙 2025年10月出荷分から 5%以上
三菱製紙 2025年10月出荷分から 10%以上
日本製紙 2026年2月出荷分から 10%以上
大王製紙 2026年2月出荷分から 10%以上
中越パルプ 2026年2月出荷分から 10%以上
北越パルプ 2026年2月出荷分から 10%以上

さらに日本製紙は2026年5月に、2月の改定に続く15%以上の追加改定を発表しました。適用は2026年7月21日出荷分からで、理由は原材料の調達環境悪化と原燃料価格の高騰です。一段目で終わりません。

つまり2025年10月から2026年2月の間に、主要メーカーがほぼ揃って価格を上げています。印刷用紙の話に聞こえますが、感熱紙の原紙も同じ供給網で作られています。レジロールの価格にも、時間差で及ぶ可能性が高いのです。

なぜ値上がりが続くのか。3つの構造要因

1. 原燃料・輸送コストの上昇

各社が挙げる価格改定の理由は、木材チップや薬品、エネルギー(重油・電力)の調達コスト上昇、輸送費の高騰です。これらは一度上がると、需要が弱まってもすぐには下がりません。

2. 円安の影響

紙の原燃料は輸入に頼る部分が大きいです。円安が続くと輸入コストが押し上がるため、為替が戻らない限りコスト構造は改善しにくい状態です。

3. 国内生産の縮小傾向

国内の製紙生産基盤の縮小も進んでいます。巴川コーポレーションは2027年3月末で静岡事業所での生産を停止し、国内での製紙生産から撤退します。対象は絶縁紙などの特殊紙で、感熱紙そのものではありません。

特殊紙の分野でも国内生産の撤退が出ている事実は、供給構造が「作り手が減り、残った生産にコストが集中する」方向に動いていることを示します。感熱紙では、三菱製紙が2026年4月にドイツ事業での値上げを発表しています。製品カテゴリ自体が、世界的な値上がり圧力の中にあります。

場面別の切り分け

症状/場面 考えられる原因 最初の一歩
前より単価が上がっている メーカーの価格改定が仕入れに反映された 適用開始日と幅を仕入れ先に確認する
価格は同じなのに合わが合わない 巻き長の短縮による実質値上げ 1巻の長さを確認し1mあたり単価に換算する
どのタイミングで発注すべきか分からない 発表から反映までの時間差を読み切れていない 値上げ発表のニュースを発注判断の合図にする
在庫を増やしたいが保管場所に不安がある 高温多湿での保管による劣化リスク 冷暗所の空きを確認し、数ヶ月分にとどめる

店として、今できること

1. 単価の比較は「1mあたり」で行う

レジロールの価格を1巻あたりの金額で比べていないでしょうか。同じ「80mm×80mm」でも、巻き長はブランドによって違います。値上がり局面では「値段を上げずに巻き長を短くする」手法も出ます。1巻あたりの比較では、実質的な値上げに気づけません。

比較するときは、必ず1mあたりの単価に換算してください。

1mあたり単価 = 1巻の価格 ÷ 巻き長(m)

2. 段階的な値上げを「先読み」して発注する

大手が相次いで値上げを発表すると、仕入れ価格への反映は数ヶ月かけて進みます。「次の改定はいつか」を読んで、発注計画を立てられます。

  • 値上げ発表のニュースが出たら、在庫の持ち方を見直すタイミングです
  • 乾燥した冷暗所での保存なら、数ヶ月の在庫は品質劣化のリスクが低いです
  • ただし感熱紙は高温多湿に弱いため、保管場所の温度管理が前提になります

3. 印刷の無駄を見直す

レシートの印刷内容を見直すのも一手です。不要な行の削除、裏面や末尾のクーポンへの活用は、紙を「ただ減らす」のではなく「効かせる」対策になります。

よくある質問

Q. 値上げはいつまで続くのですか?

A. 確定した予測はどこにもありません。原燃料・為替・国内生産の3要因がそろっており、短期間で戻る見通しは立てにくい状態です。

Q. 印刷用紙の値上げが、なぜレジロールに関係するのですか?

A. 感熱紙の原紙も同じ紙の供給網で作られているためです。同じコスト構造の上にあり、時間差はあれど影響が及びます。

Q. 在庫をどこまで積んでいいですか?

A. 乾燥した冷暗所で保管できる数ヶ月分が目安です。保管条件を守れない場所なら、在庫を増やすより先読みを優先してください。

まとめ:今日やること

  • 価格改定の時系列を把握し、次の改定を警戒する
  • 単価比較は1mあたりで行い、巻き長の短縮を見抜く
  • 値上げ発表を発注計画のシグナルとして使い、保管条件の守れる範囲で備える
  • レシートの印刷内容の見直しと併せて、総コストを抑える

値上げそのものは止められません。ただし構造を理解していれば、急な値上がりに驚いて場当たり的に買うのではなく、次の改定を読んで計画的に動けます。

次に読むなら:レジロール紙の値上げに備える|1mあたりで比べる損しない買い方(1mあたり単価の計算式と具体例はこちら)。

次に読むなら:レシートを「もう一枚の広告」にする|裏面・注釈を活かした集客アイデア(印刷内容を見直して紙代を効かせる方法はこちら)。


参考

  • 日本製紙 印刷・情報用紙の価格改定について https://www.nipponpapergroup.com/news/2026/news260521160000.html
  • 浜田紙業 【2026年6月最新】紙値上げ一覧 https://kaminotakuhaibin.com/archives/9989
  • ペーパーモール 2026紙の業界ニュース https://www.kpps.jp/papermall/knowledge/list/NEWS/2026
  • TBS NEWS DIG 巴川コーポレーション、国内での製紙生産から撤退へ https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2188803
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