レシートはなぜ古紙回収に出せないのか|店舗の感熱紙・レジロールの分別と捨て方

レシートはなぜ古紙回収に出せないのか|店舗の感熱紙・レジロールの分別と捨て方

レジで出たレシートや、使い終わったレジロールの芯を、店の裏の古紙置き場にまとめて出していませんか。感熱紙のレシートは、じつは古紙として再生できない「禁忌品」に区分されます。混ざると回収した紙ごみ全体が使えなくなるため、分別を間違えると取引先のリサイクルに損害を与えかねません。

この記事は、小売店・飲食店・クリニックなど、店舗でレシートを発行している側の担当者に向けたものです。スタッフに分別を教える立場の人を想定し、次の3点を整理します。

  • 感熱紙のレシートが古紙に出せない理由と、現場での見分け方
  • レシート・使用済みロール・芯(コア)の正しい行き先
  • 廃棄量と処理コストを減らすための、今日から効く運用の直し方

まず結論:今日やること

次の順で確認してください。所要は全体で30〜40分ほどです。

  1. 古紙の箱からレシートを取り除く(10分)— レシートはこすって確認し、黒ずんだら感熱紙なので可燃ごみ側へ移します。
  2. 芯(コア)を素材で分ける(5分)— 紙芯とプラ芯は行き先が違います。プラ芯は事業系の廃プラスチック類として扱われます。
  3. 分別ボックスの表示を直す(15分)— 「紙」「レシート・伝票」「プラ芯」「可燃」の4つに分け、スタッフが迷わない位置に貼ります。
  4. 委託先と排出方法を確認する(10分)— リサイクル分は許可業者か再生資源事業者へ、それ以外は自治体のルールに従って処理します。

※ シュレッダーにかけた紙も、感熱紙が混ざっていれば資源には出せません。見た目で判断せず、1枚ずつ確認してください。

なぜレシートは古紙として再生できないのか

感熱紙は、熱を加えると黒く発色する薬剤を表面に塗った紙です。再生紙をつくる工程では古紙を水に溶かして加熱するため、この薬剤が溶け出します。すると新しい紙の表面にチリや斑点として現れ、商品として使えなくなるのです(江戸川区)。

大阪市は禁忌品を「製紙原料にならない異物」と定義し、混入すると機械の故障や不良品の発生につながると説明しています。トヨダはロイコ染料や顕色剤は通常のリサイクル設備では除去できず、混ざると再生紙の白度が落ちると指摘しています。感熱紙はそもそもバージンパルプからしか作られておらず、一度使った後は再生の輪に戻れない紙です(PANECO)。

規模も小さくありません。日本では年間およそ5.4万トンのレシートが廃棄されているとされます(SDGs MAGAZINE)。つまり原因は大きく2つに絞れます。

  • 紙の性質:感熱紙の薬剤は再生工程で除去できず、混入が少量でもロット全体を傷める。
  • 現場の運用:レシート・伝票・芯を「紙」と同じ箱に入れてしまい、分別が機能していない。

症状別・場面別の切り分け

症状/場面 考えられる原因 最初の一歩
古紙の箱にレシートが混ざる レジ横にレシート用の箱がない レジ横に「レシート・伝票」専用の箱を置き、古紙箱と離す
芯が資源ごみとして出されている 紙芯とプラ芯を区別していない 芯の素材を確認し、プラ芯は事業系の廃プラスチック類として分ける
シュレッダー屑を資源に出している 裁断後に感熱紙が混ざっている 裁断前にレシートを抜く。抜けない運用なら可燃ごみに切り替える
委託先から分別を指摘された 排出区分(一般廃棄物/産業廃棄物)の認識違い 紙くずの区分は業種で変わるため、自治体と業者に区分を確認する

分別と廃棄の運用を整える(レジ横・芯・委託先)

感熱紙のレシートを見分ける(こすって確認)

  • 爪でこすって黒ずめば感熱紙です(大阪市の見分け方)。こすっても変化しない上質紙の領収書は、古紙側に出せます。
  • 個人情報が気になる場合は、シュレッダーにかけるか該当箇所を塗りつぶしてから可燃ごみ側へ出します(トヨダ)。ただし裁断屑は細かすぎて資源には向かないため、裁断後も可燃ごみが基本です。
  • カーボン紙(複写伝票)・圧着ハガキ・写真・複合材の封筒も、同じくリサイクルできない紙ごみです(マツダ株式会社)。

芯(コア)と使用済みロールの行き先(紙芯・プラ芯)

  • 紙芯は紙の資源に、プラ芯はプラスチックとして分けます。事業所から出る廃プラスチック類は産業廃棄物の品目に含まれ、自治体の可燃ごみに出せない場合があります(大阪市)。
  • 芯なし(コアレス)のロールを使えば、芯の分別と芯ごみそのものを減らせます。長巻のロールは交換回数が減り、芯の本数も減ります。
  • 開封済みで使い切れなかったロールは、ホコリと湿気を避けて遮光して保管し、使い切る分だけを出庫します。

委託先と処理コスト(事業系一般廃棄物)

  • レシート・紙コップ類などリサイクルできない紙くずは、飲食店や小売店では事業系一般廃棄物です。処理責任は市区町村ではなく事業者にあり、有料が原則です(廃棄物処理法第3条)。
  • リサイクルに出す古紙は「専ら物」として扱われ、処理業の許可やマニフェストは不要ですが、委託契約書は必要です(マツダ株式会社)。
  • 処理方法は、自治体の施設へ自己搬入するか、一般廃棄物収集運搬業の許可業者へ委託するかの2択です(いぬき市場)。家庭ごみの集積所に出すと不法投棄と見なされる可能性があります。
  • 減らす工夫は、発行枚数の見直しとロールの選び方です。記録が必要なものだけ紙で出し、不要な控えは出さない運用にすると、廃棄量と処理費の両方が下がります。

よくある質問

Q. レシートを細かく切れば、古紙に出しても大丈夫ですか。

A. 大きさではなく素材で判断されます。感熱紙である限り禁忌品なので、裁断しても古紙の箱には入れず可燃ごみ側へ出してください。裁断屑は細かすぎて資源化にも向かないとされています。

Q. レジロールの芯は、店舗の可燃ごみでいいですか。

A. 紙芯は紙として、プラ芯は廃プラスチック類として扱うのが基本です。事業所から出るプラスチックは産業廃棄物の品目に含まれるため、自治体によっては可燃ごみに出せません。委託先に区分を確認してください。

Q. 何年もレシートを箱にためてから出すと、何か問題がありますか。

A. ため置きそのものは違法ではありませんが、保管中の湿気で印字が薄くなり、古紙箱に移す作業も増えます。月1回など小分けで処理するほうが、分別の乱れを防げます。

まとめ:今日やること

  • 古紙の箱からレシートを取り除き、レジ横に専用の箱を置く。
  • 芯を紙とプラに分け、プラ芯の行き先を委託先に確認する。
  • 分別ボックスの表示を4区分に直し、スタッフに一度説明する。

感熱紙は、使い終わったら再生の輪に戻れない紙です。とはいえ、レシートを出さない運用は難しく、課題は「正しく可燃ごみに寄せること」に尽きます。紙そのものを替える前に、分別の置き場所と表示を直すだけで、現場はたいてい片づきます。

次に読むなら:レシートの文字が消える理由と正しい保存方法(保存の条件を知ると、廃棄前に取っておくべき書類の線引きができます)。紙の選び直しを検討している場合は電子レシートの時代に、紙レシートはなくなる?現在地とこれから(紙を残す前提か、減らす前提かで運用の組み方が変わります)。

使い終わったロールの芯を減らしたい場合は、本文で触れたように同じ幅でも長巻タイプを選ぶ方法があります。いずれも機種に合う幅・外径・芯内径(12mm)を確認してから選んでください。

紙の達人 レジロール 感熱紙 ロール 58mm x 50mm x 12mm, モバイルプリンタ用 感熱ロール紙 (20巻)

紙の達人 レジロール 感熱紙 ロール 80mm x 80mm x 12mm (20巻)

紙の達人 レジロール 感熱紙 ロール 58mm x 40mm x 12mm, モバイルプリンタ用 感熱ロール紙 (20巻)


参考

  • 江戸川区「感熱紙のリサイクルについて」 https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e004/kuseijoho/kohokocho/goiken/iken_kaitou/kurashi/12.html
  • 大阪市「事業系ごみの分け方・出し方」 https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000051841.html
  • 株式会社トヨダ「感熱紙の正しい捨て方と分別方法を古紙リサイクルの専門家が解説」 https://toyoda.co.jp/column/1976/
  • マツダ株式会社「紙ごみは産業廃棄物?一般廃棄物?マニフェスト・契約書はどうすればいいのか?」 https://matsudasan.com/paper-industrial-waste/
  • SDGs MAGAZINE「レシート、リサイクルできないって知ってた?日本では年間約5.4万トンのレシートが廃棄に。」 https://sdgsmagazine.jp/2023/09/22/10693/
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